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【魔法のレシピ#002】『2match』- 『ジェミニ・ツインズ』を大改造・プロットだけ頂いて別の作品に仕立て上げる方法♠︎

最終更新: 11月14日

sobogaです。

今回は「2match」という名前のカードマジックを解説します。


【徹底解説】『2match』- 『ジェミニ・ツインズ』を大改造・プロットだけ頂いて別の作品に仕立て上げる方法 (mov no.002)


いわゆる一致現象のマジックですが、この手のマジックは本来、観客が自由にカード選んだり、観客の好きな場所に戻したりと、観客の自由度の高さが不思議に繋がっているネタです。


こういったマジックをカメラの前で演者ひとりで、無観客状態でやると、本当なら観客がカードを選ぶ場面で演者が選んでいたりとかで不思議度はちょっと半減してしまって微妙な感じになってしまいます。


実際の観客への伝わり方と、映像を通しての伝わり方は変わってくるのでそこら辺はご理解いただいてこの動画を見てください。


観客ありバージョンの紹介


以前に実際の観客に向けてパフォーマンスした映像が残っているのでここにリンクを貼っておきます。多少の手順違いや使っている技法の違いはありますが、実際のパフォーマンスの確認に使ってください。


【2match】トランプの「数字」と「マークの色」を観客が一致させるマジック by マジシャンsoboga


2matchについて


ここから2matchの説明です。これには元ネタがあって、マーチン・ガードナーの『ジェミニ・ツインズ』です。めちゃくちゃ有名なセルフワーキングの傑作ですね。


ジェミニ・ツインズのプロットはそのままに観客の受ける印象を大改造した作品です。

2枚カードを選ぶ→2枚をデックの任意の場所に戻す→戻した箇所のカードを見るとメイトカードであるという流れ自体も一緒です。


元ネタとの違い


元ネタとの違いの部分は大きく2点です。

2枚のカードを選ぶのは演者ではなく観客が選ぶというのがひとつで、もうひとつがカードの戻し方で、ストップをかけてカードを置くのではなく、リフルしている境目に差し込むという形で、よりランダム感を強調している点です。


最初のシャッフルとカット


リフルシャッフルしてスイングカットしていますが、カードの扱いはそこそこラフな感じを出しています。雑目にリフルシャッフルして、スイングカットも雑に投げています。全体を通して、ラフな感じ、何気ない雰囲気を醸し出すためにスタートからそういったスタイルを採用しています。


2枚のカードの選択


映像だと演者が選んでいますが、実際には2人の観客に自由に選んでもらいます。


表向きに広げてカードを選んでもらうという、だいぶ大胆なことをやっていて、ここが気になるマジシャンも多いと思いますが大丈夫です。実際にこのマジックを何百人という観客に向けてやっていますが、これまで表向きだったことを指摘されたことは一度もありません。

基本的に観客はこのあと何が起こるのか知りませんし、手順が進むにつれて、表向きで選んだのか、裏向きで選んだのかさえ覚えていなかったり気にしていないことがほとんどです。


ではこの箇所の解説です。この2枚のカードを選んでもらうところが一番難しいというか、一番大変なところなので丁寧に説明します。


映像だとさらっと進んでいますが、実際に観客の前で演じるときはここが演者として一番忙しい所です。瞬間的に頭の中で考えることがたくさんあります。


実際には観客と会話をしながら進めます。無言でやっては絶対にダメな場所です。


まず、1人目の指がカードに触れたら、そのカードのメイトカードの位置を瞬時に確認します。そのときに、無言で探さないでください。観客にその数字である理由なんかを質問するとか、そういった内容の会話をしながら探してください。


次に2人目です。同じようにメイトカードの位置を確認しますが、さらに、2人目のメイトカードと1人目のメイトカードとの位置関係も把握します。


位置関係を把握できたら、この次の手順で2人目のメイトカードがトップに来るようにカットするので、そうしたときに、1人目のメイトカードがボトムから何枚目に移動するかざっと把握します。正確な枚数じゃなくて大丈夫です。20枚目くらいとか、20枚目から30枚目の間くらいとか、そんな感じで問題ありません。


もう一つ重要なのが1人目のメイトカードの数字と色をきちんと記憶しておくことです。ここの部分、頭の中の作業が多いので忘れがちになります。

2人目のはすぐにトップに移すので覚えなくていいですが、1人目のメイトカードは、一旦デックを閉じてからトップに移すので、忘れてしまうとその時点でこのマジックは失敗します。


2人目のメイトカードをトップにカットする


2枚のメイトカードの位置関係を把握できたら、2人目のメイトカードの所でカットをして、トップに移動させます。このときに1人目のメイトカードのボトムからの位置、そして色と数字を頭の中でもう一度、唱えておくといいかもしれません。


ここの動きとセリフですが、観客から見える動きはデックを2つに分けて裏面を見せているという動きです。そしてセリフは「2人とも裏向きで持ってください」という指示です。


本当は、観客の選んだカードを裏向きにしてもらうのは、もっと後のタイミングでも構わないし、ここで裏向きにしなければ1人目のメイトカードをわざわざ記憶する必要もないんですが、カットの動きとセリフを合わせるために、あえてここで裏向きに持ってもらいます。


本来の目的はカットをすることなので、これをセリフもなく無言で行った場合は違和感のある行動です。ですが、適切なセリフを乗せることで、意味のある行動に変えています。


ここまでの流れは、本当に頭の中が忙しいです。実演動画では会話もなく、位置を確認する間もない流れで撮影しているため、都合の良いカードを選んでいます。2人目が選ぶカードは、メイトカードがスプレッドの真ん中にあるカードだし、1人目のカードは、メイトカードが端っこのほうにあって、真ん中でカットすると、そのメイトカードが真ん中あたりに移動することになるカードを選んでいます。


ただ、実際のパフォーマンスではそうはいかないですね。どのカードが選ばれるかは観客の任意なので、それぞれのメイトカードの位置は完全にランダムです。たまたまメイトカード同士が2枚並んでいたり、前後の関係が都合のいい場合もあれば、都合の悪い場合もあります。ここは、いろんなパターンを想定して練習してみてください。


1人目のメイトカードをDPSでトップに移動させる


ここから先は少しテクニカルですが、頭の中の作業はほとんどなくなります。

ここもセリフと動きは合わせてください。

観客にカード1組の枚数を質問しながら、カードを広げて見せる動きの中で、1人目のメイトカードを探します。


探すといっても闇雲に探す必要はないですね。ボトムからの大体の位置は把握できているので、それ以外の箇所は適当に広げて、そして流してしまって問題ありません。


目的のカードが見つかったら、そのカードをインジョグします。残りのカードは適当に広げて見せて、デック全体を閉じます。


続いて、デック全体は少し崩れた状態ですが、インジョグされた1人目のメイトカードを、インジョグからのDPSでボトムに移動させます。この場合は見た目上のボトムです。ひっくり返せばトップですね。


インジョグからのDPSは試したことがないかたもいるかも知れませんが、普通の、アウトジョグからのDPSができるかたは意外と簡単にできるはずなのでやってみてください。


実際にはこの箇所はいろんな方法が思いつきますね。結果的に1人目のメイトカードをトップに移すことができればなんでも構いません。冒頭でお伝えした、観客ありの動画の中ではカルを使ってトップに移していますね。それ以外でも、インジョグしていれば位置は把握できるので、デック全体を裏返してからトップに持ってくる、なんてことも考えられそうです。


先に、少しテクニカルだとお伝えしましたが、実は技法のことなんかではなくてミスディレクションのことです。ミスディレクションも広く見れば技法の一つだと言われたら、まあそのとおりなんですが、ここは観客に手元を凝視された状態で、なんらかの方法で1枚のカードをトップに移す必要がある箇所です。


ミスディレクションというと強烈な何かで、観客の視線そのものを逸らして、そこを見ていない間に何か裏の仕事をすること、と捉えがちですが、そういうことばっかりでもありません。


今言ったのが強いミスディレクションだとしたら、弱いミスディレクションをいくつか掛け合わせて、観客の視線は演者の手元から逸れていなくても意識が外れているという状態を作り出すことは可能です。


実際のパフォーマンス時にここでかける弱いミスディレクションは4つです。


まずは、デックを広げる理由を暗に伝えるためのミスディレクション。

これはセリフによるミスディレクションで、セリフとしては「トランプは全部で何枚か?」という質問を投げかけています。その質問と合わせるように、観客にカードを広げて見せているという動きにします。つまり、本来の目的は、演者が特定のカードを探したい、ですがこれを、観客に対してカードを見せている、というふうに意味変をしています。これが1つ目。


2つ目は動きによるミスディレクション。

ターゲットカード以外の箇所はカードを広げる動きをラフにします。先程も説明しましたが、何気ない雰囲気というのを適当な動きで演出します。カードを広げる事自体、大した意味を持たないことを伝えるのが目的です。


3つ目は目線によるミスディレクション。

ターゲットカード以外の箇所を広げているときはデックを見ないで観客の目を見ながらセリフを言うようにします。人間は他人の目線にめちゃくちゃ敏感なので、観客は視線を動かさなくても演者から見られていることを感じることができます。そして、視線を感じた方に意識は動いてしまいます。視線を感じながら、セリフを投げかけられることによって、意識を演者の方に移すことが目的です。


4つ目はセリフの内容によるミスディレクション。

ここで投げかけているセリフは、「説明」ではなく「質問」です。「トランプは全部で52枚です」という「説明」では聞き流されてしまいますが、「トランプは全部で何枚ですか?」という「質問」は聞き流すことはできません。「質問」の「答え」を得るために、意識は完全に自分の頭の中に集中します。その結果、目に演者の手元は映ってはいるけれども、意識が外れているという状態を作ることができます。


この4つのミスディレクションは同時に行いますが、作用するタイミングはズレます。

1〜3は同時に作用して、一旦演者に意識が移ります。そして、少し遅れて自分(観客)に意識が移ります。このタイミングを見計らって何らかの技法を行ってください。


はい、ここまでがめちゃくちゃ忙しいところです。2枚のカードを演者ではなく観客に選ばせる、ということを実現するために相当コスパの悪いことをやっている気がしますが、ここまで来たらもう大丈夫、リラックスして残りの手順をこなしてください。


シャッフルとカット


ここで気をつけることは3つ。

当たり前ですが、トップ2枚を変えないようにシャッフルするってことが一つ、動きを最初のシャッフルとカットと同じようなラフさで行うというのが一つ、カットを重ねたところ(元々のトップカードの上)でブレイクを取るというのが一つです。


この後の技法に繋げるために、カットはするけど元々のトップカードの上にブレイクを取る必要があります。そのために、わざとラフなカットでカードの崩れを作っているんですね。その崩れたカードを揃える動作の中でブレイクを取っています。


なので、ここの動きは最初のシャッフル・カットの動きに合わせると言いましたが、実際は逆です。ここの動きに最初を合わせているというのが正確な言い方ですね。


ここの技法、技法ってほどのことでもないので説明しますが、丁寧にやるとこんな感じに1枚だけインジョグ状態にすることもできます。この1枚を直す動きでブレイクを取ることも可能ですが、この方法は若干不安定です。カードの状態、新しいとか古いとか、カードの反りの状態、大気というか部屋の空気の湿度とかカード自体の湿度でインジョグの結果が上手くいったり上手く行かなかったりします。そういうこともあるので、今回の映像のようにラフに投げて大きく崩してしまったほうが確実と言えるかと思います。


マシュー・ビシュの『The Force』


ここは観客にカードを差し込ませるところですね。

ここも元ネタとだいぶ印象の違う箇所ですね。ジェミニ・ツインズのセルフワーキング臭を消して、ランダム感を強調しています。


使っている技法はフランスのマジシャン、マシュー・ビシュの「The Force」という名前のフォースです。


観客からの見え方としては、観客自身でカードを持ち、リフルされたデックの好きな箇所にそのカード差し込み、差し込んだ箇所のカードが選択されたカードである、というふうに見えますが、実際にはトップにセットされていた特定のカードがフォースされているという技法です。


当然、この技法は他人の販売物なので残念ながらここでは解説しません。覚えたいかたは、概要欄にこの技法の購入ページのリンクを貼っておくので、そちらから購入してください。とはいえ$3.95なので400円ちょっとですか?めちゃくちゃ安いですけど。


本当のことを言うと、この「2match」のきっかけがこの「The Force」という技法です。元々はこの技法を何かに使えないかと考えているときに、「ジェミニ・ツインズに使えそう」と思い付いたのが最初です。そこからさらに発展して、2枚のカードを選択するのが演者でなく観客にしたらもっと面白くなりそうと考えて出来たのがこの「2match」ということです。


『The Force』の購入ページ

https://store.theory11.com/products/the-force-by-mathieu-bich


シャッフルとカットから同じことを繰り返す


2枚目は1枚目とまったく同じことを繰り返すだけですね。

1人目のメイトカードと2人目のメイトカードをフォースしたら、あとはそれぞれのカードを自分なりの演出で示せばいいわけです。


メイトカードを示す


最後に2枚のカードを表にして観客に示す場面です。

映像では、観客に選ばれた裏向きのカードが何であるか予測させるようなセリフを言ってから表に返していますが、これは結構重要なことだと考えています。結果を知らないほうが現象が起きたときに驚きが増すはずだと考えがちですがこれは違います。マジックにおいては「結果」に驚いているわけではないことが往々にしてあります。


人間の驚きは基本的には「予想が外れた」ときに起こるものですが、マジックの驚きに関してはもう少し解像度を上げて考えないとその理論は当てはまらなくなります。


マジックの驚きは、箱を開けたら「予想もしていなかった」ヘビが飛び出してきた、みたいなびっくり箱的な驚きではありません。


「箱に何も入っていないことを確認した、さらに箱を念入りに調べた、そして自らの手で箱を閉じた、にも関わらずマジシャンがおまじないをかけて箱を開けると、さっきは何も入っていなかったはずなのにプレゼントが出てきた」のような、こういうことに対しての驚きなわけです。


「何も予想が出来なかったこと」に驚いているのではなく「そうはならないはずという予測」に反しているから驚きが生まれるんですね。


今回の2matchに当てはめて考えると、予想もしていなかったメイトカードに驚くのではなく、この状況で2枚連続して一致現象が起こることはないという予測に反するからこそ驚きが生じるわけです。


なので、カードを示す前にメイトカードの存在を認識してもらって、それが出てくる可能性は極めて低いことをわかってもらった上で示したほうが驚きが増す、という寸法です。


この考え方はあらゆるマジックの現象の示し方に関わってくることなので、自分も含めて、自分のマジックの終わり方・示し方を見直してみる必要があるかもしれません。


次回予告


今回も、次回のタイトルだけ予告しておきます。


『アセンブリ』- いかようにもアレンジ可能・これさえ知っていれば自分だけのマジックがいくらでも作れる原理


では、また。

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