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【魔法のレシピ#003】『アセンブリ』- いかようにもアレンジ可能・これさえ知っていれば自分だけのマジックがいくらでも作れる原理♠︎
最終更新: 1月3日
sobogaです。
今回は『アセンブリ』という名前のカードマジックです。古典的な原理を使った作品です。
【徹底解説】『アセンブリ』- いかようにもアレンジ可能・これさえ知っていれば自分だけのマジックがいくらでも作れる原理 (mov no.003)
古典的原理の解説
今回は手順を一つひとつ解説するよりも、基本的な原理が分かればすべてを理解できると思うので、まずは原理の説明をします。
ご存知のかたには『ポーカー・メンタル』の原理と言えば「ああ、それね」となるばずですが、最近この原理を使ったマジックをあまり見かけないので、逆に、斬新なマジックを作れるかもしれません。
では、解説します。
手元にカードがあれば実際にやってみてください。すぐに理解できると思います。
5枚1組のパケットを5組作りますが、それぞれの組の3枚目のカード(真ん中のカード)を次のようにします。
1組目:♠︎A
2組目:♠︎2
3組目:♠︎3
4組目:♠︎4
5組目:♠︎5
一旦すべてを回収します。1組目を2組目の上に乗せる→まとめたふた組を3組目の上に乗せる...というように5組目までを回収したら、残りのデックの上に乗せる。
そのままカードの並びを変えずに、5人にカードを配る要領で、カードを1枚ずつ順に5枚ずつになるまで配っていきます。
これで、3人目のところに♠︎A〜♠︎5すべてが集まります。
これがこのマジックのすべてです。
応用範囲は無限大
シンプル過ぎる原理ですが、これにフォールス・シャッフルとフォールス・カットを加えるだけで奇跡に変わります。
肉付けの仕方によっては、今回のようなマジックにもできるし、5枚であることを活かしてポーカーを題材としたネタにもできます(元々が『ポーカー・メンタル』ですからね)。他にも、カードを当てるマジックだとしても、演出を変えればゴリゴリのメンタル・マジックに仕立て上げることもできます。
ちなみに、ポーカーネタとしてこの原理を使っているのは、以前の『トライアンフ』の解説のときにも紹介したジョセフ・バリーですね。そのときに話題に出した『インスクリュータブル・レッド』の中で、『サブコンシャス・ポーカー』という名前のマジックでまんまこの原理でやっています。今回の『アセンブリ』よりも大胆な使い方をしているので、興味のあるかたは下のリンクからチェックしてください。
もうひとつ、メンタル・マジックのカード当てとして解説が載っているのは、書籍ですが、ジェリー・マクレガー&ジム・ペース著の『レストラン・マジシャンズ・ガイドブック』です。この本はマジックの解説本ではなく、レストラン・マジシャン/バー・マジシャンとしての仕事の取り方や、仕事をいかに継続させるかといった情報が書かれたものです。その中にいくつかマジックの手順が紹介されているといった感じです。
書籍としての内容は、アメリカ人のマジシャンがアメリカ国内でのことを書いているので、日本のマジシャンが日本国内においてすべて参考になるかというと、やや微妙な内容であることは否めませんが、パフォーマーが己の腕一本で仕事を得ていくというビジネスマインドを学ぶにはいい本かも、といったところです。本気でマジックを仕事にしたいと考えているかたには一読する価値はあるかもしれません。
この本はAmazonでは取り扱いがないようで、発行元であるscriptmaneuverさんの公式サイトのリンクを貼っておきましたので、そちらからチェックしてみてください。
http://www.script-m.jp/note/restaurantworkers.php
『アセンブリ』の解説
今回のマジックに話を戻しましょう。
この原理の説明以外、解説することはほとんどないのですが、今回の映像についても一通り解説しておきましょう。
シャッフルとカット
これは同じことを毎回言っている気がしますが、シャッフルやカットに限らず、しょっぱなのカードの扱いはその作品のスタイルを決める上で重要だと考えます。
ここでは、後のフォールス・カット、フォールス・シャッフルのやり方に合わせて、テーブル・カット、テーブル・リフル・シャッフルをしています。
一応、補足しておきますが、個々の作品のスタイルよりもキャラに合っているかどうかを重要視する考え方もあると思いますので、立ちふるまい、道具の扱い方、選択する技法、合わせるセリフをそれぞれ考えて、試して、修正してと、自分に一番合う形を探してみてください。
5人のカードの選択
5人の観客それぞれに、5枚のうちの1枚を覚えてもらうところで、原理的に言えばここがこのマジックのすべてです。今回は、決め打ちで真ん中のカード(3枚目のカード)を覚えてもらう形を取っています。
映像では演者が混ぜてから真ん中を指差して覚えてもらっていますが、実際のパフォーマンスでは観客自身が混ぜて真ん中を見て覚えます。
実際には、手順を増やせば5枚のうちのどれを覚えてもらっても後から特定することは可能で、それを行えばたいそうなメンタル・マジックができますが、今回の趣旨とは外れるため決め打ちで行っています。
カードをドリブルして、ストップをかけられた箇所から5枚を出してきたり、その5枚をシャッフルしてから真ん中のカードを覚えてもらったりしているのは、原理の構成上どうしても手順臭さが出がちなので、それをできるだけ拭うために、ランダムに選んでいるというふうに感じてもらうための工夫です。
カードの回収
残念ながら、今回の手順ではカード回収時(真ん中を覚えてもらった後)にシャッフルさせることはできません。速やかに回収してください。
通常は1→2→3→4→5か5→4→3→2→1の順で回収すると思いますが、回収の仕方によっては意図した順で示すことも可能です。ただ、そのように回収する明確な理由を説明できなければ違和感しか残らないのでやめておいたほうがいいでしょう。
フォールス・カット&フォールス・シャッフル
なんらかのフォールス・カットなりフォールス・シャッフルをします。観客に、カードが回収されて混ぜられたことを視認してもらう必要があります。
ここでは、ブレイクを作らないでステップを利用したテーブル上のフォールス・カットをして、直後にプッシュ・スルー・シャッフルをしています。
ここはご自分の得意なフォールス・カットやフォールス・シャッフルをしてください。ここのスタイルによって作品全体のスタイルが決まるかと思います。
何番目に集めるかの調整
実演では2番目の観客にカードを集めるために、トップの1枚を減らすという調整を入れています。
1番目に集めるにはトップ2枚を減らす、2番目ならトップ1枚を減らす、3番目ならそのまま、4番目ならトップに1枚追加、5番目ならトップに2枚追加で調整が効きます。
減らす場合はスリップカットなどで除外して、追加する場合はフォールス・カットをしつつボトムから持ってくれば追加できます。今回は、スリップカットを1回して、そこからフォールス・シャッフルをしています。
最後の示し方はご自由に
最後は原理通り1枚ずつ5人に5枚ずつのカードを配れば完了します。今回は少し勿体つけた見せ方をしていますが、演出の幅は無限大です。ご自身の好きな形で演出してみてください。
今回の見せ方の補足をしておきます。演技の冒頭で『アセンブリ』という言葉の意味を説明しています。そして、カードを回収した後に「集めてカードを当てる」というセリフで結果を匂わせながら進めています。最後の見せ方も、2番目のカードだけを伏せた状態で、これから何が起きるかをセリフ無しで示すことで観客の期待値を上げる工夫をしています。
この辺りの、観客の期待値を上げたり、驚きの度合いを上げる理論については、前回の動画『2match』の解説でも話しています。概要欄にリンクを貼っておきますのでぜひチェックしてみてください。
次回予告
次回は、有名な古典作品のオチを変えたカードマジックです。
【徹底解説】『オープン・トランスポ』- オチを変えることで人と差をつけやすい『シカゴ・オープナー』をプチ改造
では、また。
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