『マジックのタネ明かし』soboga的スタンス

Text by magician soboga

目次

さて今日は、たびたび問題になる「マジックのタネ明かし」についてのsobogaのスタンスを書いてみようと思います。

どこで問題になってるの?

これを読んでいるほとんどの人は、たびたびっていうけどそんな問題目にしたことないけど?っていう感じですよね。

これは、せまいせまーい世界でのお話です。

日本に限って考えるけど、現在の日本の人口が約1億2,650万人。で、かなり多めに見積もって仮にマジック業界に携わる人が100万人いるとして(そんなにいるわけない)、日本の人口比0.8%以下のめちゃくちゃマイノリティな世界の問題です。

タネ明かしの定義

soboga的タネ明かしの定義はひと言で済みます。「マジックのタネを人に伝えること」です。その方法や手段、伝える人数は問いません。

なので、「テレビでタネを教える」ことも「YouTubeチャンネルでタネを教える」ことも「少人数に向けてレクチャーする」ことも「マジックのやり方が書かれた(収録された)本やDVDを売る」こともぜーんぶタネ明かしです。
でも、そうじゃない意見の方もいるみたいです。

テレビなんかのオープンな場で不特定多数に対して”無料で”タネを教えることをタネ明かしと呼んで、目的を持った少人数に対してのレクチャーや、目的を持って購入する本やDVDなどクローズドな場での”有料の”タネの開示はタネ明かしと呼ばないようです。

テレビやYouTubeのタネ明かしを批判する場合、大義名分としては観客の楽しみを奪うことは良くない的な批判が多いですが、でも本当は、どうやら道徳的な問題ではなくお金が絡む問題のようですね。

タダでYouTubeでタネ明かしされたら解説DVDが売れなくなるじゃないか!レクチャーのお客さんがいなくなるじゃないか!タネ明かしされたマジックができなくなって稼げなくなるじゃないか!ってことですよね?

マジックのタネには価値なんてない

わざと釣りのような中タイトルにしたけど、こういうことを言うと文脈を無視して噛みついてくる人がいるけど、まあ一旦落ち着いてください。

今現在、インターネットによってありとあらゆる情報が無料で共有される世の中になりました。本屋に料理のレシピ本を買いに行かなくても、本に書かれているクオリティと同じかそれ以上のレシピが、検索するだけでインターネットで簡単に無料で手に入ります。なんなら特定のお店の特定の料理のレシピだって手に入る可能性は高いです。

料理のレシピもマジックのタネも情報という意味では完全に同等のものです。レシピどころかその情報が著作権などの法律によって保護されていない限り、どんな情報とも同じ価値です。

いやいやでもマジックのタネは極めてデリケートな情報なのでとか言うのであれば、一子相伝みたいにして、自分が認めた特定の誰かにだけ伝えて秘密を護るべきです。

(ここは余談です)いやいやいやいや、でも本やDVDは著作権で保護されているからとかいう意見もありますが、マジックは音楽と違って、保護されているのは本だったら文字情報、DVDだったら映像情報そのものが保護されているだけで、内容(コンテンツ)自体はいっさい保護されていません。

人の本やDVDをコピーして売ったら法律で罰せられますが、ネタ自体は同じでも文章を完全に違うものに書き換えたり映像を取り直したりして売ってしまえば、完全にパクリ認定はされ村八分にされるでしょうが、法律で裁かれるということはありません。(余談ここまで)

個人がYouTubeを使って、視聴者から直接お金をいただかなくても広告費で稼ぐことができるようになった現代において、貨幣経済にその情報を乗せた(お金を払えば手に入るという状態にした、つまり直接売るという手法を選択した)時点で、無料で情報を伝えつつ間接的にお金を手に入れることができるようになった人には太刀打ちできないのは明白です。

おわかりのように、マジックのタネの内容そのものに価値がないなんて一言も言っていません。どんな情報でも値段を付けて売った瞬間に、情報としての価値は無に帰すという世界に何年も前からとっくになっていますよということが言いたいことです。

sobogaはタネ明かし肯定派

長々と引っ張りましたが、soboga的タネ明かしの定義からすれば、(sobogaもオンラインレッスンとかやっているので)タネ明かし肯定派です。

オープンなところでやっているかクローズドなところでやっているかの違いは関係なくて、お金の出所が違うだけでやっていることは同じです。

これで否定派だとか言ったら論理的に破綻している頭のおかしな奴になってしまいます。

自ら(YouTubeなんかの)オープンな場でタネ明かしをする予定は今のところありませんが、やらない理由は道徳的なことではなくて、既にいくつもタネ明かしチャンネルが乱立しているので今からやっても遅いと思っているからです。

もし、他と大きな差別化ができたり、新しいビジネスモデルを思いついたらやる可能性は大です。

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最後までお読みいただきありがとうございます。

次回はライトな話題で、久しぶりにXENOのことを書いてみようと思っています。

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