「不思議なことを起こしている」のか「不思議なことが起こっている」のか

Text by magician soboga

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「日本のマジック業界をひと言であらわすと『せまい、せこい、センスない』」っていうフレーズを思いついてから頭から離れなくなっているsobogaです。

さて、ここ最近マジックの見せ方、演出が変わってきています。それこそ若いときは「すごいマジシャン」と思われたくて、すごいことをやっていると思わせる演出ばっかりだった気がするんだけど、近頃はだいぶ違った演出に変え始めました。

これまでだったらマジシャンが不思議な現象を能動的に起こしているように描いていたんだけどこれを変えて、トランプとかコインとかの道具自体が不思議なことを起こしているというか起こってしまっているような演出だったり、観客の予想がズバリ当たったり、観客の手の中で”勝手に”不思議なことが起こったり、そんなふうに作り変えています。

きっかけは、sobogaが歳を重ねてきてドヤりたい若げがなくなってきたのと、YouTubeとかインスタとかで「ドヤりマジシャン」ばっかり見てうんざりしているからでしょうね。

でもこれ結果的に、冷静に観客の様子を見てみると、これまでに比べてウケがいいというか楽しんでもらえるというか。なにより観客の笑顔が増えた気がしています。

これは「不思議なことを起こしている」のを見てもらいたいのか「不思議なことが起こっている」のを見てもらいたいのかの違いですね。

言い換えると「すごいオレ」か「すごいことが起こっている場を伝えるオレ」か。場にいる”みんな”で楽しめるのは後者かなあって思い始めています。

世の中には、上手さ・すごさにフィーチャーしたマジシャンは溢れるほどいるので、差別化という意味でも重要かなと思っています。

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