『スチュアートゴードンダブルターンオーバー』ソフトタッチで1枚であることを印象付ける縦方向のダブルターンオーバー♠【魔法のレシピ #17】

Text by magician soboga

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はいどうもsobogaです。
今回は、「スチュアートゴードンダブルターンオーバー」の解説ですが、「スチュアート・ゴードン」は人の名前なので、技法名からはダブルカードのターンオーバーなんだなってこと以外はうかがい知ることができない技法です。

動画の、冒頭のパフォーマンス映像でやっている変則的なダブルリフトがそれで、ダブルカードを縦方向にターンオーバーする手法です。

Trick Libraryでは、「技法」の「ダブルリフト」のカテゴリに分類しています。難易度は[上級]です。

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元々は、本やテキストではなく、海外のマジシャンがやっているのを映像で見て覚えたんですが、そこに独自のアイディアを追加して説得力と安定性を高めたやり方を解説します。

ピンキーカウントやダブルプッシュオフを使うので、難易度的には少し難しいものですが、僕自身、練習すること自体も楽しかった記憶があるので、ぜひ覚えていただければと思います。

では解説していきましょう。

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ゲットレディ

技法のスタートとして、ピンキーカウントなどでトップ2枚のブレイクを取ります。
ブレイク及びピンキーカウントの解説は下のリンクから参照してください。

ダブルプッシュオフ

一般的なやり方だとダブルプッシュオフせずに、ブレイクを頼りに右手親指でイン側エンドを持ち上げて、エンドグリップの形でダブルカードを取り上げるかと思いますが、そのような方法は使いません。

なぜなら、普通に1枚のカードを右手で取り上げるときのことを考えると、一切のプッシュをしないというのはありえなく、必ず何らかのプッシュオフをするのが自然な行為だからです。

右手親指でアウト側にズラすか、右手の中指・人差し指でイン側にズラすか、左手親指で押し出してスタッドメソッドの形でターンオーバーするのが普通です。

今回の技法と同じ形で1枚のカードをターンオーバーするにしても、プッシュオフして、右手で受け取って、めくる、というのが自然な動きだと感じます。

ダブルプッシュオフをしないでダブルカードを持ち上げるという不自然な動きをするのであれば、そもそもこの技法はやらないほうがいいとさえ思っているので、必ずダブルプッシュオフして右手で受け取るという流れを取るようにします。

ダブルプッシュオフについては、「ダブルプッシュオフダブルリフト」の記事で詳しく解説しています。

リフトのやり方

ダブルプッシュオフしたダブルカードの右手での受け取り方です。
押し出したダブルカードがズレないように左手親指でデックに押し付けたら、右手はエンドグリップような手の甲を上に向けた形でダブルカードを受け取りに行きます。

カードをつかむ指は親指と薬指で、つかむカードの右サイドが親指と人差し指の又の間にしっかりと当たるまで深く持ちます。この時点では、人差し指と中指はどこにも当たらないようフリーにしておいてください。

手の平側から見ると上の写真のような形です。

ダブルターンオーバーのやり方

さて、ここからダブルターンオーバーです。
ダブルカードがズレないための工夫が施された方法を説明します。

左サイドを中指でロックする

ダブルカードを右手でつかんだ時点では、イン側エンドは親指で、アウト側エンドは薬指で、右サイドは親指と人差し指の又でロックされていて、左サイドが空いている状態です。

ここから親指を離したいのですが、その前に左サイドを中指でロックします。
左サイドのアウト側左コーナー付近を中指でつかみます。薬指はアウト側エンドに当てたままです。

常に3辺がロックされていればズレることはないので、これで親指をダブルカードから離すことができるようになりました。

手首ごと縦方向にターンオーバーする

親指を離し、3点ロックのまま、親指の指先を中指方向に移動させつつ、手首ごと縦方向にターンオーバーします。

右手全体の動きは上の写真のように、観客側に回転させます。カードは手の動きに伴って回転しているに過ぎません。

そして、親指の動きは上の写真のように動かします。

右手全体と親指の動きを同時に行うとこのようなかたちになります。

ターンオーバーしきったら、中指のすぐ上あたりを親指と人差し指でつまみます。

ここまでがダブルターンオーバーです。

ダブルスピニングアラウンド

続いて、ダブルカードをデックに裏向きで戻すために、ダブルスピニングアラウンド、つまりダブルカードを水平方向に回転させます。カードに大きな動きを持たせることで、1枚のカードだという錯覚をさせるための説得力を持たせつつ、フラリッシュ的要素も含んだアクションです。

親指と人差し指でつまんでいる箇所を回転軸に、中指を使って反時計回りに回転させます。このときに、回転前のアウト側左コーナー(回転後はイン側右コーナー)が手の平に当たって止まるまでしっかりと回転させてください。

回転が足りなく途中で止まってしまうとズレる原因になってしまうし、たとえ回転中に多少ズレたとしても、手の平に当たることでズレがなくなりしっかりと揃います。

ただし、大事な注意点が一つ。スピードでごまかすのは厳禁です。急にここだけ動きが早くなるのは極めて不自然なので、勢いやスピードで回転させないように気を付けましょう。

横方向にターンオーバー

あとは裏向きでデックに戻すだけです。
ダブルスピニングアラウンドが完了した時点では、カードの持ち方が若干不安定なので、左手を使ってダブルカードを軽く湾曲させ1枚のカードであることを強調しつつ、右手は横方向の(通常の)ターンオーバーがしやすいようにさりげなく持ち直します。

持ち直したら普通のターンオーバーをして、裏向きにデックに揃えたら技法が完了します。

以上、「スチュアートゴードンダブルターンオーバー」の解説でした。

最も大事なポイントとしては、技法全体を通してライトでソフトタッチな動きに見えることが重要です。さりげなくフワッとした動作によって、1枚のカードを取り扱っている印象を観客に与えることができるかと思います。技法名を「フェザータッチダブルターンオーバー」とかに変えたいところですが、マジックショップの「フェザータッチ」さんとかぶってややこしくなるのでやめておきます。

使いどころに関しては、あらゆる「普通のダブルリフト」と置き換えが可能ですが、やり過ぎは禁物な気もします。すべてのダブルリフトがこれでは、特徴的過ぎるが故に「この動き」こそが怪しいとなりかねません。特に「1枚のカードである」ことを強調したい、ここぞというときに威力を発揮するものだと思うので、そのへんは気を付けて使ってください。

パケットトリックにも使える

また、パケットトリックで、持っている枚数を1枚少なく見せたいときなんかにも使えます。

※動画で確認するにはこちらから。該当の解説箇所から再生されます。

エンドグリップで持ったパケットの、残り2枚の時点で技法を行えばよく、ブレイクやダブルプッシュオフの必要はないので、これも覚えておくといいでしょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。少し難しい技法ではあったので要点をまとめておきます。

  • カードをデックから取り上げるのにプッシュオフしないわけがない。必ずダブルプッシュオフする
  • ダブルカードがズレないように常に3点でロックする
  • 縦のターンオーバーはカードだけではなく手首ごと回転させる
  • ダブルスピニングアラウンドは手の平に当たるまでしっかりと
  • ダブルスピニングアラウンドはスピードでごまかさない
  • 技法全体を通してライトでソフトタッチな動きに見えることが重要
  • この技法はパケットトリックにも使える

こんな感じでしたね。「ダブルプッシュオフダブルリフト」に引き続き、通常のダブルリフトでは満足できない、さらに先に進みたい人にはおすすめの手法ですので、上に挙げた要点を踏まえつつ、ぜひ試してみてください。

では、また。

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