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はいどうもsobogaです。
今回も基礎技法です。「カット」のやり方を大きく分けて3つ解説します。「コンプリートカット」「スイングカット」「テーブルカット」です。
あらゆる基礎技法に言えることですが、例えるなら建築物の土台作りみたいなものです。どんなに立派な宮殿を建てたとしても土台がしっかりしていなければ、ちょっとした地震でも簡単に崩れてしまうものです。
今回解説する「カット」もあらゆる技法の土台となるものです。特に、今後解説する「フォールスカット」の揺るぎない土台となる必須の基礎技法なのでしっかり覚えてください。
Trick Libraryでは、「カードの基礎」の「カット」のカテゴリに分類しています。難易度は[初級]です。
それでは解説です。
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コンプリートカット
ディーリングポジションに持ったデックをカットする場合です。
デックの上半分を、右手でエンドグリップの形で取り上げてテーブルに落とす。続いて、下半分も同じように右手で取り上げて、テーブル上のパケットに重ねる。それと同時にデックすべてをエンドグリップで持ち上げて左手に渡し、ディーリングポジションで持ち直す。
これだけです。簡単ですね。
基本的には、ただ単に”カット”といえば大抵はパケットを2つに分けて位置を入れ替えることを指しますが、複数回に分けてカットすることもできますね。分けるパケットの量を調節すれば4回とか5回とかそれ以上でも細かくカットすることができます。
これがコンプリートカットの基本形ですが、コンパクトで無駄な動きを少なくするためのポイントは4つあります。
コンプリートカットのポイント4つ
- 正確なディーリングポジションで持つ。
- デックは水平ではなく、角度を付けて持つのが正解。詳しくは関連記事から「グリップ/ポジション(デックの持ち方)」を参照。
- 右手で取りに行かない。右手が待機しているところに左手がつかみにいかせる。
- 右手は上半分をつかんだら、左サイドを支点に水平に引き起こすだけ。
- 上半分をつかんだ右手はその場から動かさず左手をどかす。
こんな感じですかね。まあ、あくまでもsobogaはこうやっているという一例です。
効率のことだけでなく、スタイルだとかいろいろ考えられますよね。例えば、左手を固定して右手が頑張るとか、手前エンド側から持ち上げて観客側に重ねるとか。挙げていったらキリがないほど細かい動作の組み合わせはあると思うので、自分なりのやり方を追求してみてください。
オープンなやり方
バリエーションの一例として、見た目がはっきり異なるやり方をひとつだけ紹介しておきます。
ここで言うオープンとは、観客から見て、よりはっきりとカットしたことがわかりやすく、間違いなくデックの並びが入れ替わったと認識してもらえることを指しています。
デックをエレベイティドディーリングポジションで持って、トップを観客側に向けた形からスタートします。 右手でデックの上半分を取りにいって、手前エンド側両サイドを親指・中指でつかんだら、演者の正面あたりに置きます。同じように下半分を右手でつかみ、テーブル上のパケットに重ねます。
先程の基本形と比べて、見た目の印象は大きく変わりますね。トリックの文脈に合わせて使い分けるのがいいかと思います。
また、このやり方も、複数回に分けてのカットも問題なくできます。
スイングカット
コンプリートカットが両手とテーブルを使ったカットなら、このスイングカットはテーブルは使わずに両手のみで行うカットです。
右手にエンドグリップで持ったところから始めますが、通常のエンドグリップよりも指を立てて持ったほうがやりやすくなります。人差し指は自由に動くようにしておいてください。
まず、人差し指で観客側エンドを半分持ち上げ、同時に人差し指と中指を開いて持ち上げた上半分を左に傾けます。結果、上半分と下半分の間に大きな空間ができあがります。
次に、持ち上げた上半分を左手で受け取ります。親指と人差し指を使いますが、指先ではありません。親指と人差し指の間の深い部分を使って左サイドのちょうど真ん中あたりをクリップして受け取ります。クリップ後は中央の写真の形で、このまま自然にディーリングポジションに移行できます。
最後に右手に残った下半分を左手のパケットに重ねればスイングカット完了です。
残りパケットの重ね方についてはいろいろ考えられると思います。
残りパケットの重ね方
- 音を立てずに静かに重ねる
- 叩きつけて大きな音を立てる
- 上から落とす
- 右手で投げて左手でキャッチする
などなどです。最後のアクションで大きく見た目の印象を変えられるのがスイングカットの特徴かもしれませんね。
また、スイングカットは複数回に分けることもできますが、2回目以降はすでに受け取ったパケットが邪魔して人差し指の付け根が使えません。なので、左手のパケットを立てて、親指とパケットの左サイドを使ってクリップすると上手くいきます。
パケットを立てずにやると上手くつかめずこういうことになる可能性があるので注意が必要です。
テーブルカット
最後に、テーブル上のデックをカットする方法です。
テーブルから取り上げずにそのままカットします。
右手で下半分を、左手で上半分をつかみます。左手親指で手前を数ミリ持ち上げたら、右手で下半分を観客側に引き出します。
両パケットが完全に外れたら、右手を元に戻しつつ右手のパケットを左手のパケット上に重ねます。これで上下のパケットが入れ替わります。
特に難しいことはないので、テーブルリフルシャッフルとセットで動きを手に馴染ませましょう。
テーブル上のカットで複数回に分けるには、左手でつかむ量を調整してください。
一旦、右手でデック全体をつかんでしまい、左手でトップ側から1/4とか1/5とか少ない量を取り上げて、テーブルの上に重ねていきます。
両手の動きを見ると、左手はその場に留まったまま、パケットを取り上げて重ねるを繰り返し、右手は観客側に避けて戻すを繰り返す、といった感じです。
また、複数回に分ける場合に、動きに特徴を付けることも可能です。
通常、テーブル上のシャッフルやカットは、動きに無駄がなくエレガントに見えるのが特徴のひとつですが、これをあえて複数回カットのときに雑に行うことで、予定調和ではないカオスを演出することもできますね。
まとめ
以上、3つのカットを解説しました。「コンプリートカット」「スイングカット」「テーブルカット」でしたね。
それぞれ、基本となるやり方と複数回に分けるやり方を解説しましたが、基本と複数回では技法の本質が違います。
基本の場合は、それを何回繰り返したとしても、トップのカードとボトムのカードがループして繋がっていると考えると、切り取っている箇所が変わるだけで並び順は一切変わっていないといえます。カードの並びに意味のあるトリックには都合の良い技法ですね。
それに比べると複数回に分けてカットした場合、デックの動きはオーバーハンドシャッフルやヒンズーシャッフルと同じような動きをします。「デックの動き」という角度から見れば、厳密に言えばカットではなくシャッフルということになります。並びに意味のあるデックを複数回カットするわけにはいかないので覚えておきましょう。うっかりやってしまったときには、その瞬間「あっ!」ってなると思いますけどね(笑)
では、また。
sobogaの蛇足
日本人には「カット」は通じない?
蛇足です。
ここでは実際の現場での所感をお伝えしておきます。演者の行うカットではなく、観客にカットをしてもらう場合についての所感です。
我々マジシャンにとっては、カットは当たり前の行為になっているし、冒頭でも書いたとおり、フォールスカットなどの土台になっている基礎技術なわけで、ほとんど意識できなくなっていますが、ギャンブルに使われるポーカーなどのカードゲームが根付いていない日本においては、「カット」と「シャッフル」の区別が付いていない観客が少なくないということが挙げられます。
単に「カットしてください」とデックを渡した場合、おもむろにシャッフルを始める一般の観客が実際に存在します。特にデータを取っているわけではないので正確なパーセンテージはわかりませんが、一度や二度ではなく何度も何度も目にしているので、結構な数になるんだろうなと思っています。
カットでもシャッフルでも問題なければ別にいいんですが、カット以外をされると具合の悪いトリックもあるわけで、その場合は大問題だっていうことです。
もしかしたらこの話自体、一般の方が聞いたら「そりゃそうだろう、カットなんて知らんよ。トランプを混ぜることかと思うよ」ってなるのかもしれませんね。
何が言いたいかというと、このことを踏まえて手順を組む必要があるっていうことです。本やDVDやYouTubeで覚えた手順がそのまま通用するわけではないってことを知っておいたほうがいいですね。
やり方を解説してからカットしてもらうのもまどろっこしいし、「シャッフルはダメだけど・・・」なんて言うのは論外だし、この場合の対処はどうしたらいいんでしょうね?
半分に分けて上下を入れ替える普通のカット以外のことをされたくない場合においては、演者の手によって行う。観客には触らせない。これがベストです。
次点としては、「カット」という言葉を使わず、さらに言えば余計なことは口にせず「半分くらい持ち上げて隣に置いてください」これだけを伝えて、観客が半分を置いたら、残りの半分は演者の手で重ねる。これがベストの次に安全なやり方でしょう。これでも、観客自身によって分けたところでカードの順番を入れ替えた、ということは認識してもらえます。
カットそのものがトリックになっていて、それを完全に観客の手でさせたいっていう気持ちも分からなくはないですが、そのへんはリスクとのトレードオフです。毎回、初見の観客に見せることになる実際の現場ではそんなリスクは取りません。
あえてリスクを取るとしたら、その観客が常連さんだったりで、どんな行動を取るか完全にデータが揃っている場合のみです。だとしても、それでも時には人間の行動には裏切られることもあるっていうことも覚えておいてください。
あらためて、では、また。
参考文献
おすすめカード
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