はいどうもsobogaです。
解説の前に1点お知らせです。
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技法解説動画のライブラリ『Trick Library』
この動画から「Trick Library」という新しいシリーズを始めました。
「Trick Library」とは何かというと、カードマジックの技法が主になりますが、技法解説の動画シリーズです。
シャッフルだったりカットなどの基礎的なテクニックから、パームとかクラシックパスなんかのシークレットムーブ、いわゆる技法と呼ばれるものまで、カードマジックを演じる上で必須となるテクニックを包括的に解説していきます。
そして、その解説動画をWebサイト『魔法のレシピ』に体系的にまとめたものが「Trick Library」です。
PCでもスマホでも、一覧で探したり、技法名で検索したり、難易度から探したりできるWebサイトです。
YouTube上で探すよりも簡単に目的の解説動画にアクセスできる仕組みとなっているので、皆さんのマジック学習に活用してくれたら嬉しいです。
【魔法のレシピ】
https://www.recipeofmagic.com
テーブルリフルシャッフルの解説
さて今回は、最もスムーズでエレガントに見えるカードの混ぜ方、テーブルリフルシャッフルの解説です。
「Trick Library」では、「カードの基礎」の中の「シャッフル」のカテゴリに位置しています。難易度は[初級]です。
ではさっそく参りましょう。
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スタイルによって印象の違う3つのやり方
冒頭の映像では受ける印象の異なる3つのやり方を見てもらいました。
さっそく3つのやり方から解説しましょう。
クローズドシャッフル
1つ目は、デックを2つに分けたあとに持ち直しが発生するやり方で、できるだけ派手さを抑えた、カジノのディーラーがやるようなクローズドな持ち方のシャッフルです。
便宜上、ここでは「クローズドシャッフル」と呼びます。
まず、デックは横向きでテーブルに置きます。
次にデックをちょうど半分くらいずつ、左右に、2つのパケットに分けます。
ここでは、左手の親指でデックの手前側の上半分を少し持ち上げてから、両手を左右にずらしています。
続いてパケットを持ち直しますが、この「クローズドシャッフル」ではパケット全体を手で覆うような持ち方になります。
親指は、先端というよりはサイドの部分がコーナーに当たるように。中指・薬指・小指の3本は観客側のエッジに。人差し指はパケットの上に添える感じに置きます。
観客からはパケットはほとんど見えなくなる持ち方です。
そして、リフルして左右のパケットを交互に数枚ずつ噛み合わせていきますが、3ステップに分けて説明します。
1. 親指と親指が触れ合う程度に左右のパケットを近づけます。
2. それぞれの親指で手前コーナーを少し持ち上げるとともに、人差し指を下方向に押し付けてコーナーだけが持ち上がっている湾曲した状態を作ります。
3. 左右のリフルのタイミングを合わせて交互に噛み合わせていきます。
ここの湾曲の度合いは、今回解説する3つの中で最も小さな湾曲で、リフルで発生する音もかなり控えめです。このスタイルに派手さは必要ありません。
最後にデックを揃えますが、リフルが終わるとコーナー部分だけが噛み合っている状態となるので、それぞれのパケットを押し込んで1つのデックにまとめたら、デックの周りをきれいに揃えてシャッフルを完了させます。
このときに再度持ち直しが発生します。親指は手前エッジ、人差し指・中指・薬指は観客側エッジ、小指はそれぞれ左右の短いエッジに当てた状態でグッと押し込んで噛み合わさった面積を大きくします。
この状態から左右それぞれの親指と中指を使って、手前の2つのコーナーを絞るような動きで全体を一気に揃えることができます。
※この動きは、テーブルに置いたデックやパケットを揃えるあらゆる場面で使えるので覚えておいて損はありません。
ここでは、押し込み動作1回、揃える動作1回でまとめ上げていますが、押し込みに2回以上、揃える動作も2回以上とやっていると、どうもまごついた動きに見えてしまうので、できる限り少ない回数で行ったほうがいいでしょう。
オープンシャッフル
2つ目は、デックを分けたあとに持ち直しが発生しない最もオープンな持ち方をするシャッフルです。
これの呼び方は「オープンシャッフル」でいきましょう。
これはパケットに分けるときの親指の位置に注意です。横方向の位置ですね。この様に端のほうを持つのではなく、できるだけ真ん中あたりを掴んだほうがこのあとのリフルがやりやすくなります。
「クローズドシャッフル」と「インターミディエイト」ではパケットを分けたあとに持ち直しが発生するので関係ないんですが、この「オープンシャッフル」では持ち直さずに分けたときの指の位置でリフルを行うので、位置によってリフルしやすさが大きく変わってきます。物は試し、端とか真ん中とかいろんな箇所で試してみて、最もやりやすい箇所を探すのもいいでしょう。
続いて、このままパケットを持ち直さずにリフルします。
今回の3つの中で最も安定感の低い持ち方/弾き方なので、どれくらいの湾曲度合いで、どれくらいの高さから、どれくらいの力で弾いていくのがいいのか何度も繰り返し練習してコツを掴んでください。
高さや弾き方で、派手に見せることも雑に見せることもできます。
※雑に見せることも演出によってはアリだと思います。
リフル後の押し込みも他の2つとは違い、持ち直さずにリフルしたそのままの手の形で押し込みます。つまり、「分ける→リフルする→押し込む」の一連の動作を、パケットを一切持ち直さずに行うってことです。
最後のデックの揃え方は「クローズドシャッフル」と同じです。
インターミディエイト
3つ目は、持ち方は「クローズドシャッフル」に近く持ち直しも発生するけど、リフルでカードを噛み合わせるときは、しっかり噛み合わせ箇所を見せる、比較的オープンな持ち方をするシャッフルです。
オープンとクローズドの中間にあたるので、「中間」という意味の「インターミディエイト」と呼ぶことにします。
「インターミディエイト」は、やっていることはほぼ「クローズドシャッフル」と同じですが、持ち方とリフルの部分が違うので受ける印象が大きく変わります。
2つに分けたあとに持ち直しますが、「クローズドシャッフル」と比べて指を立て気味にして手のひらをパケットから浮かせて、パケットを手で覆わないようにします。
また、両手を近づける際には、噛み合わせるコーナー部分が観客からしっかりと視認できるように、2つのパケットで大きなハの字を描くようにコーナーだけを近づけます。
リフルの仕方は「クローズドシャッフル」と同じ様にしてもいいですが、比較的派手さを求めてもいいかもしれません。湾曲を大きめにして、鋭いエッヂの効いた音を立ててもいいでしょう。
リフルしたあとは、「クローズドシャッフル」同様に持ち直して、押し込み、デックを揃えてシャッフルを終えます。
オープンとクローズドの言葉の意味
見ていただいたように、3つの違いはデックをオープンに持つかクローズドに持つかってことですが、一応オープンとクローズドの言葉の意味を説明しておきましょう。
結論を先にいうと、デックやパケットの見えている面積が大きいものがオープンで小さいものがクローズドです。
基礎的な持ち方のエンドグリップを例にします。
これがクローズドなエンドグリップです。何かを隠したいときの持ち方ですね。
これ今何を隠しているかというと、パケットの厚みです。
この持ち方をすると、パケット全体の見える面積は小さくなるし、エッジの部分が指で完全に覆われるので保持している枚数もまったく分からなくなります。
それとは対象的なこの持ち方がオープンなエンドグリップです。
見える範囲は大きく、エッジも隠れていないのでパケットの厚みがよく分かります。
これがオープンとクローズドの違いです。
何も隠すことがないのであれば基本はオープン
これは個人的見解になりますが、マジックにおいては基本的なスタイルとして「何も隠すことがないのであればオープンであるべき」と考えています。
細かいことをいえば、何も技法を行っていない通常時と技法使用時で見た目が大きく違っているのは良くないっていうことや、ミスディレクションとして、隠す必要もない箇所でわざと怪しげに隠すようにクローズドに持ったりとか、まあいろいろあるんですが、基本は、「何も隠すことがないのであればオープンであるべき」です。
なので、マジックの演技の中で行うシャッフルは、今回のテーブルリフルシャッフルに限らず、オープンなわかりやすいシャッフルをするのが基本になります。
マジックにおけるカードをシャッフルするということの本質
なので、今回解説した3つのやり方のうち、「オープンシャッフル」か「インターミディエイト」がマジックに適したシャッフルといえるでしょう。
マジックにおける、「カードをシャッフルする」ということの本質を考えてみてもそういえるかと思います。
逆説的になりますが、カジノでディーラーが直接カードをシャッフルするポーカーでは、カードの並びのランダム性を高めるためによく混ぜること、そして、シャッフル時にプレーヤーに1ミリたりともフェイス(カードの表面)が見えてしまわないこと、この2点がカジノのシャッフルで重要なことです。
だからこそ、カードの動きが小さなクローズドなシャッフルをするわけですね。
今回の話に戻します。
マジックのシャッフルの本質は、今いったカジノのそれとはぜんぜん違います。
言ってしまえば、カードが本当によく混ざっているかどうかはまったく重要ではなく、観客から見て、「しっかりと混ぜているように見える」ことのほうが重要だってことです。
もし、この意見に賛同できるよって方は「オープンシャッフル」か「インターミディエイト」のやり方を採用してみてください。
見た目的には「クローズドシャッフル」が最もエレガントに見えるので嫌いじゃないんですけどね。
でも、soboga的にはマジックの演技の中では決して「クローズドシャッフル」はやりません。
じゃあなんで解説したんだよってことになっちゃいますけど、できないのと、やらないのとではぜんぜん意味が違いますから、ね。
難易度の差はあるのか?
といってもそこまで難易度の差はありません。どのやり方も「Trick Library」的には[初級]です。
一応、難易度が易しいほうから並べると、
クローズド = インターミディエイト < オープン
クローズドとインターミディエイトが同じくらい、それと比べてオープンが若干難しい。っていう感じでしょうか。
あくまでもまったくの初心者にとってはですけどね。
違いはリフルする箇所ですね。
クローズドとインターミディエイトはリフルするのが指が引っかけやすいコーナー部分。オープンではコーナーよりも引っかかりが少ないエッジ部分です。
また、どちらもリフル時にはパケット全体を湾曲させる必要がありますが、コーナーのほうが力が入りやすいので、クローズド/インターミディエイトよりもオープンのほうがより握力というか指の力が必要になります。
これが、オープンが少しだけ難しい理由です。
あと、パケットの保持の仕方がクローズド/インターミディエイトのほうが安定しているからっていうこともあるかもしれません。
オープンでやる場合、最初は「トランプってこんなに硬かったっけ?」って感じるかもしれませんが、強大な指の力が必要かといえばそんなことはなく、必要なのは上手い力の入れ方、コツです。
何度も何度も、それこそ何千回と反復練習するうちに必要なだけの筋力も付くし、いつの間にかコツも掴めるはずですので頑張ってみてください。
おまけ
トップとボトムは混ぜずに位置を保持できる件
冷静に考えれば当たり前のことですが、リフルシャッフルが持つ特性のひとつです。
本来よく混ぜようと思ったら、シャッフル→カット→シャッフルと何度か繰り返しますが、カットをせずにリフルシャッフルだけであれば、トップ1枚〜数枚、ボトム1枚〜数枚を混ぜずにシャッフルできます。
トップをキープしたければその部分を最後に落とせばよく、ボトムをキープしたい場合はその部分を先に落とせばいいだけです。ある程度の慣れは必要なので何度も練習してください。
トップやボトムに何らかのセットをするネタに最適なシャッフルだということですね。
上が左?下が右?どっち?
Q. 左右の手どちらで、2つに分けた上部分、下部分を持つべきか?
A. どちらも差異なくできたほうがいい。フォールスシャッフルなど特定の技法を行う上では右手側にトップ部分を持たなければ成立しないとか、逆に左手側にトップ部分を持たなければ成立しないとかがあるので、どちらも差異なくできるように練習するべきです。
まとめ
以上、テーブルリフルシャッフルの解説でした。
多くの技法や多くの作品に繋がる基礎的なものですので、しっかりと押さえておくべきシャッフルのひとつです。
今後もTrick Libraryと作品の解説動画をアップしていく予定です。
順番としては、ある作品があって、その作品を演じるのに必要な技法をまずTrick Libraryで解説して、その後にその作品の解説をするっていう感じになるかと思います。よろしくお願いします。
では、また。
参考文献
おすすめカード
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