【魔法のレシピ #005】『ドリブル』 – 応用範囲は無限大!これができなきゃ諦めることも山ほど増えてしまうカーディシャン必須のカード技法を学ぶ♠

Text by magician soboga

目次

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はいどうもsobogaです。
今回はカードの基礎の必須技法「ドリブル」の解説です。

ただカードを上から下に落とすだけのテクニックがなんで必須なの?なんの意味があるの?と思う方もいるかも知れませんが、この解説を読んでいただくことで「ドリブル」の重要性が少しでも伝わればいいなあと思っています。

「Trick Library」では、「カードの基礎」の「その他」「フラリッシュ」の2つのカテゴリに分類しています。難易度は[初級]〜[中級]です。

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前半で基本的なやり方を解説したあと、後半では応用のしかたをいくつか紹介しています。

まあ、技術的には易しい技法なので、やり方に関して説明することはそんなに多くありません。やり方の説明だけだったら難易度は[初級]なんですが、応用に関しては、そこそこの練習と”場数”という名の経験値が必要になってくるので[初級]〜[中級]としています。
ただ、この解説の本当の価値は後半にあるんじゃないかなと思っているので、ぜひ最後まで見ていってください。

それでは解説をどうぞ。

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デックの持ち方

まずは、基本中の基本の持ち方です。
少し深めのエンド・グリップで持って、人差し指を伸ばしてトップに当てます。

親指と中指の位置は中心線よりもやや左よりで、この、なんていうんでしょう、真ん中の左右にある、花というか花火というかミカンというか、なんとも形容しづらい丸いマークの、左側のマークの線上をつかみます。

グリップの深さをボトム側から確認するとこんな感じです。
「ドリブル」をあらためて説明しようと思って気づいたのは、ボクは親指と薬指を中心に技法を行っているみたいです。「みたいです」っていうのは、これまで特に意識してこなかったってことですね。
薬指だけがボトムカードにかかっていて、中指、小指はかかっていないのでそういうことなんでしょう。なんかこのへんは適当です。

おそらく中指を中心にやる人もいると思います。知らんけど。
小指って人はあまりいない気がしますが、まあ、この「ドリブル」ってやつは技術的にガチガチのシビアな技法ではないので、ここはご自身の感覚でやりやすいほうでかまいません。

先ほどのつかむ位置、ミカンのところをつかむって書きましたけど、これもボクがドリブルしようと思って無意識につかむ場所で、特にそこじゃなくてもなんの問題もなく同じようにできます。
つかむ位置も最もやりやすい形で問題ありません。

ドリブルのやり方

グリップしたら、伸ばした人差し指でデックを押して、デックを軽く湾曲させます。
ここは、あまり無理な力を加えなくて大丈夫です。この画像で確認してください。これくらい。

よくある間違いとしては、人差し指以外のグリップした指で無理に湾曲させるっていうのがあります。こんな感じで。

意識としては、グリップした指で湾曲させようとするのではなくて、人差し指の圧力に他の指が対抗している結果、わずかに湾曲しながらもデックが手に収まっている、といった感じです。

無理な湾曲でもできなくはないけど、これじゃ人差し指の意味がなくなってるし、ここまで湾曲させると結構な勢いで無秩序にカードが飛んでいきます。

もし勢いよくカードを飛ばしたいならドリブルではなくて、今後解説する「カード・スプリング」に任せたほうがいいでしょう。このドリブルでは「パラパラパラ」とカードが落ちていく演出がいいんじゃないかと思います。メリハリ大事。

さて、軽い湾曲でデックを持ったら、親指でリフルしてカードを落としていきます。「リフル」は弾くってことですね。
最初は低い位置から。少しずつ理想の高さまで上げていってください。

親指リフルを、デックを固定してやってみるとこんな感じです。
できるだけ細かく1枚ずつに近い形で落ちていって欲しいですよね?もし、途中で「ボトッ、ボトッ」と塊で落ちてしまうようなことがあるとしたら、それは親指リフルが上手くいっていないからです。細かく一定のテンポでリフルできるようにしっかり練習してください。

それと同時に、反対側エンドの指(中指、薬指、小指)を、タイミングを合わせて少しずつ開いていきます。

ここで気を付けなければならないのは、”力を抜いていく”感覚ではないってことです。まだ手に残っているカードに対してはグリップの圧力は残しつつ、落とすカードの指の引っ掛かりをなくしていく感覚です。

当然、カードの残り枚数が少なくなるにつれ、グリップの圧力を弱めていく必要はありますが、その力の調整は人差し指だけでやってください。人差し指の押す力を抜いていけば、他の指も自然と力が抜けていきます。

さっきグリップの深さについて説明したときに、ボクは薬指の1本だけがボトムカードにかかっていると書きましたが、例えば、中指と薬指の2本がボトムにかかっているなら2本同時に、または、中指、薬指、小指の3本がかかっている場合は3本の指が同時にボトムカードから離れる必要が出てきます。

ちょっと考えればわかると思いますが、タイミングを合わせる指の本数が少なければ少ないほど簡単です。中指でも薬指でもどちらでもいいですが、常に1本の指だけがボトムカードにかかっている状態を意識してやってみてください。
「なんか適当」とか言いつつ、一応理由はあったりします。

ここまでのポイントをまとめると、

  • 親指はリフルに集中
  • 中指、薬指、小指は開くタイミングに集中
  • 人差し指は力の調整に集中


ですね。

大事なのは力の具合と動きのタイミングです。それ以外の自由度はかなり大きいので、慣れてくれば適当な指で適当な箇所をつかんでできるようになると思います。

どこをつかんでいても問題ありません。中指だけでも、薬指だけでも、もやはエンドじゃなくコーナーとコーナーを親指と薬指だけで持っても問題なくできるでしょう。

また、YouTubeのパフォーマンス映像(冒頭の映像)では、デックを観客側に傾けて親指で本のページを「パラパラパラッ」とめくるようなドリブルだったり、カード・マニピュレーションのカスケードみたいな「なんちゃってカスケード・ドリブル」をやっています。

細かくカードが指から離れていく感覚さえつかめば、いろんな見た目のドリブルができるようになるかと思います。 こんな感じでいろいろなやり方ができるドリブルですが、「よーし、ドリブルの練習をするぞ!」なんてならなくても、手遊び感覚で繰り返していれば自然に上達すると思いますよ。

「ドリブル」の使いどころ

ドリブルは単純にフラリッシュとして、カードの扱いに慣れている感を出すのに便利ですが、それ以外にも使いどころがたくさんあるので一つずつ紹介していきましょう。

観客に1枚のカードをランダムに選ばせる

これが最もわかりやすい使い方ですかね。
ドリブルで落としていって、観客の「ストップ」でドリブルを止めて、止めたところのカードを観客が選んだカードとする選択方法です。バラバラと落ちていくカードの視覚効果で、非常に強いランダム感を印象づけることができる選択方法ですね。

個人的には、手の届かない離れた位置にいる観客にカードを選んでもらうときによく使います。

まあでもこれ「ただし」が付きます。
今からちょっとだけ深い話をしますね。

実は「観客に1枚のカードをランダムに選ばせる」ってタイトルに嘘が含まれています。
嘘をなくすと「観客に1枚のカードを、ランダムに選んだように思わせる」になります。

ドリブルは、一般の方からすると「カードが”勝手に”落ちていっている」ように見えるでしょうが、実際にはマジシャンが「カードを”技術によって”落としている」んですよね。

カードを落としていくスピードに関しては、一般の方が思うよりはるかに自由の効く技法なので、観客の「ストップ」に合わせて、演者都合の範囲の箇所で止めることが可能です。
実用的で失敗のない使い方としては、デックの上半分の範囲から選ばせる方法です。

赤マークと黒マークを半々に分けておいて、

1. ドリブルで上半分のどれか1枚を選ばせる
  ↓
2. 真ん中でカットして赤と黒の上下を入れ替える
  ↓
3. ドリブルで上半分のどこかで止めて観客のカードをそこに戻す

これで、セットアップとドリブルだけでカード当てが成立しますね。

これだけではカードを当てるだけの何の演出もないクソつまらないマジックでしかありませんが、重要なのはランダムに見えて演者の都合の良い箇所から選ばせることができて、かつ、都合の良い箇所に戻すことができるってことです。
具体的には、ボトム付近になんらかのセットアップがあって、その辺りからは選んで欲しくないときや、その辺りに戻されたくないときなどに活用できますね。

実際的なことをいうと、観客目線になったときに、デックの下半分の範囲でストップをかけるのは難しいものです。よほどゆっくりなドリブルでない限り、ドリブル開始とともにストップと言ったところで、ストップの「プ」を言い終わるころには下半分は通り過ぎてしまっています。

また、演者目線に話を戻すと、観客の”ストップのタイミング”は、観客の口元に注目していれば簡単に測れます。
ストップを言う直前に息を吸うために口が軽く開くか、元々口が開いていたとしても”ス”を言う口に形が変わるので、そのサインを見逃さなければ演者都合の箇所と観客のストップを合わせるのは容易です。

ブレイクなしを暗に伝える

カード当てなどで、そのカードをデックに戻したあとにドリブルをすることで、暗にブレイクを取っていないことを伝えることができます。ある程度、マジックの知識を持っている観客向けですね。「ドリブルしたってことはどこかに指をはさんでいるわけではない」と思わせることができそうです。

実際にはそれを逆手に取るんですけどね。
ドリブルをする時点で、すでにトップやボトムにコントロール済みの状態でやるわけです。

もうひとつブレイク関連でいうと、ドリブルを使ってトップ1枚、2枚、3枚あたりの任意の箇所でブレイクを取ることも可能です。これのやり方は次回の解説で説明します。
Trick Libraryの解説はナンバリングしていて、この「ドリブル」がNo.13なんですけど、次のNo.14は「ブレイク」の予定なんですね。そこで詳しく解説します。

セットアップなしを暗に伝える

ここでいうセットアップは、裏色の違うカードを1枚ないし数枚忍ばせていたり、裏表が反対のカードが特定の箇所にセットされていたりで、スプレッドして開くことができないセットアップのことです。
このようなセットアップをしているときに、あえてドリブルをしてセットアップの可能性をつぶしてから演技を始めます。

真ん中あたりにセットがある場合はリスクが高すぎますが、トップ付近やボトム付近にセットがある場合におすすめの手法です。

例えば、ボトムやボトムから2枚目あたりにセットがあるなら、ボトム数枚を左手に残してドリブルをすればセットが見えることはありません。

その場合は、右手を持ち上げてからドリブルを始めるのではなく、手前エンド側を数ミリ分けて、そこからドリブルしながら右手を持ち上げていくようにしてください。

それとは逆に、トップ付近にセットがある場合、例えばトップから2枚目が表になっている場合などですね。その場合は、トップ4、5枚のところでドリブルを止めて、その4、5枚をまとめて重ねてしまえばいいだけです。

まあ、いたずらにリスクを取りにいく必要はない気もしますが、特に裏色の違うカードをセットしているときなんかは(シカゴ・オープナーとかですよね)現象の効果も高くなるので、リスクと現象効果のトレードオフをどう捉えるかってところですね。

意図的にデックの崩れを作り出す

これもよくやる手法です。パームなどのシークレット・ムーブをする直前に、手癖感覚でドリブルして意図的にデックを崩して、右手がデックに近づく理由を作り出します。
デックを揃えるついでにパームをするってことです。

これの前提となる考えとして、「右手がデックに近づくときは何か理由がなければならない」というのがあります。例えば、デックをテーブルに置くとか、デックをカットするとか、スプレッドから戻したデックの崩れを直すとか。

シークレット・ムーブのためだけに右手がデックに近づいた場合、観客目線では「何をしているかはわからないけど、何か怪しいことをしているに違いない」という強烈な違和感を与えることになってしまうからです。

ボトムやトップのピーク

ピークは「覗き見る」っていうことで、ピークには本当に様々な方法がありますが、ドリブルでのピークはその内の一つの手法です。

ドリブルのために右手でデックを持ち上げたときに、手前エンド側を軽く持ち上げればボトムカードのインデックスがはっきり見えます。持ち上げる角度は、それとは気付かれない程度の本当に小さなもので大丈夫です。これで簡単にキーカードを作れますね。

トップカードのピークは、ボトムのときと同じくらいの角度でドリブルしていって、最後数枚のところからスピードを遅めに調整すれば、トップカードのインデックスを覗き見ることも容易かと思います。

トップカードをピークしておいて、最初の1枚だけランをしてオーバーハンド・シャッフルすれば、「まぜたデックのボトムがキーカード」というのを作ることができますね。

あと単純な使いみちとしては、トップやボトムにコントロールした観客のカードをドリブルでピークしてしまえば、あとはやりたい放題っていうのもすぐに思いつく使い方ですかね。

コンディションのチェック

思い返してみると、現場でのコンディション・チェックのためにドリブル(だけじゃないけど)しますね。
確認しているのは手とかカードや部屋の空気の湿度なんでしょうね。

夏場と冬場では、手もカードもだいぶ状態が変わってくるので、指とカードの引っ掛かり具合とかからその日のコンディションをチェックするのにドリブルを使ったりしますね。
まあ、実際にはドリブルだけじゃなくて、リフルして、ドリブルして、シャッフルして・・・と、いろいろやるんですけど、そのコンディション・チェックというかウォーミングアップというかの一つにドリブルがあるっていう感じです。

まとめ

他にも使いみちがありそうだし、ありますが、とりあえずはこんなところです。

まとめると、

  • カードの扱いに慣れている感を出す
  • 視覚的にランダム感を出す
  • 公明正大さを演出する
  • 他の技法の準備をする(右手がデックに近づく理由付け)
  • ピークのカモフラージュ
  • コンディション・チェック


というのが、今回紹介した使い方です。

なかなかに便利な技法だということが少しでも伝わっていれば幸いです。

しっかりと手に馴染むよう回数を重ねてみてください。

では、また。

参考文献

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